こんにちは、みっけです。
先日、Colosoの人気講座「10曲以上のきくおの代表曲を通して学ぶ曲制作」を受講しましたのでご紹介したいと思います。
どんな人におすすめの講座?
きくおさんは、YouTubeのチャンネル登録者数は100万人以上、『愛して愛して愛して』はSpotifyにてボーカルシンセサイザー楽曲史上初の1億回再生を突破、音楽の教科書に載った、など輝かしい経歴を持った超有名ボカロPさんです。
そんなきくおさんの楽曲制作手法を学べるというかなり貴重な講座です。
私個人としては受講して本当によかったな、という内容でした。
おそらくお勧めできるのはこんな人です。
- きくおさんの曲が好きな人→実際の作品を細かく解説してくれます!
- ある程度、曲作りはできるが、なんとなく息詰まってる人→曲作りに決まった型なんて無いんだ教えてくれます!
- 音楽理論とか関係なく自由な曲作りをしたい人→音楽理論やいわゆるハウツー的な解説はほぼ出てきません
ただ、きくおさんのアーティスト性が存分に発揮されている分、もしかしたらこんな人にはお勧めできないかもなとも感じました。
- 理論的、体系的に整理された講座が良い人→全体的に感覚的な解説が多いです。考えるな、感じろ的な印象なので、良くも悪くも理論はあまり出てきません。
- きくおさんの曲に興味がない人→あくまできくおさんの作品解説がメインなので、一般的なポップス楽曲の作り方とはちょっと違います。
音楽レベル的には初心者から上級者まで幅広く学べるかと思いますが、きくおさんの天才肌な感覚的解説が全面に出ている講座なので、その点は注意です。
全20講座、時間にして12時間以上あります。かなりの長時間です。
作り込まれた講座というよりは、きくおさんの家に行って楽曲ファイルを開きながらお話を聞く、みたいな印象でした。きくおさんに親近感感じられます笑
ちなみに講座資料はコード進行の解説部分のmidiデータのみでした。
講座内容ざっくり紹介
それではここからは実際の講座内容をざっくりレビューしていきたいと思います。
01. おしゃべり+大まかな曲作りのイメージを掴む
まずはきくおさんの経歴紹介です。テキストメモを映しながら話してくれるので親切です。
講座についての考えも語ってくれますが、学べることと学べないことがちゃんと分析できていて好感が持てました。
14分ほど経ったあたりから、「学校を休んだ日のこと」を使って曲を作る流れを実際に打ち込んでくれます。
使用ソフトはStudio One。
メロディ、コード、リズムだけを簡単に打ち込んだあとに、完成版を聞かせてくれます。
どんな音が打ち込まれているのか、エフェクトがかかっているのか、など全体的な解説と、楽曲のコンセプトを音で表現することの大切さを教えてくれます。
間奏の部分にリズムを崩しためちゃくちゃかっこいいフレーズがあり、そこの解説もあるのですが、「これがかっこいいと思ったから」の一言で片付けられてしまいます泣
この「最終的にはきくおさんの感覚」で片付けられてしまう感じはずっと続きますが、自分の「かっこいい」をそれぞれ落とし込めよというきくおさんからのメッセージだと受け取りましょう。
またきくおさんのいい加減な部分も垣間見え、ご本人もことあるごとに「適当でいい」というスタンスを強調してくれるので、こだわるところといい加減なところとのメリハリがある点は個人的にとても学びがありました。
02. コード進行とベースをフィーリングで理解する①
コード進行の講座です。
ダイアトニックコード+αを使った進行例を実用的なものに絞って色々と教えてくれますが、驚くほど専門用語が出てきません。
きくおさん自身も理論があまり得意ではないとのことですが、逆にこのくらいの知識でこの曲をつくれるのはすごすぎる!と尊敬の念が深まりました。
ある程度音楽理論を学んだ人であれば少し退屈に感じるくらいの内容かもしれません。
ただきくおさんの好きなコードとか知ることができますし、コード進行ってなんでもいいんだなーというマインドになれるのも良かったです。
03. コード進行とベースをフィーリングで理解する②
スパイス的なコード(ダイアトニックコード以外)についての講座です。
ポップスではよく使われるコードばかりなので、ある程度勉強してる人なら難しくはないと思います。
また、コードに対して使える音か使えない音かを判定する独自の方法を教えてくれます。
04. コード進行とベースをフィーリングで理解する③
ここから四和音やオンコードが出てきます。
初心者には難しいかなという感じではありますが、最初に宣言されていた通りよく使われるコードばかりですし、打ち込み画面もあるのでなんとかなるかと。
個人的にここまでのコード講座については大体知ってるなという印象だったのですが、きくおさんがこのくらいのコードの知識で曲作りをされているというところに大変学びがありました。
コードネームなどは一切言ってくれないので逆に難易度が高まってる気もしましたが、ともかく理論や理屈に縛られないようにということが大事なのかもしれません。
ちなみにこの2〜4講座までの、コードを打ち込んだだけのMIDIデータがこの講座の配布資料になってます。
後半は『深い森のなかで』『あなぐらぐらし』『幽体離脱』『君はできない子』『イイコと妖狐』の解説をしてくれます。
コードはシンプルで、リズムやメロディ、音作りで複雑に聞こえるのがきくおさんの特徴かもしれませんね。
(といっても実際の曲ではかなり複雑な音の重ね方もしてます。自分自身でも何やってるか解説できない、だそうです。)
『カエルのおどり』はガムランを参考に作った曲ということで、コード進行がないのですが、非常にかっこいいです。
こういう民族的特徴の曲を作りたい時は「その都度ググってます」と言い切るあたり、やはり好感が持てます笑
またコードボイシング、メロディも関して、演奏するのは難しいようなフレーズを多用してるのが発見でした。
きくおさんは全く演奏をしないで曲をつくってるそうなので、本当に発想が自由です。
ともかく「〜べき」なんてことは無いのだと、常に新しいやり方を模索していくべきだと、教えてくれます。
勉強になります!
05. パーカッションを理解する①
『幽体離脱』『バツ猫』『イイコと妖狐』『あなぐらぐらし』を中心に解説。
基本はオーディオサンプルの貼り付けのようです。MIIDの打ち込みは少なめ。
複雑に聞こえるリズムも、バラして個別に聞かせてくれるので理解が進みます。
06. パーカッションを理解する②
『猫の食卓』『カラカラカラのカラ』『君はできない子 Live Edit』を中心に解説。(05講義の続きです。)
1トラックずつ音を聞かせてもらうと簡単にできそうな気もするんですが、端々に非凡なセンスを感じます。
パーカッション講義も筋道立ててパーカッションの構築の仕方を解説とかではありません。
07. 音源、エフェクト、タテの構成①〜11. 音源、エフェクト、タテの構成⑤
ここからがこの講座の本領発揮という感じですね。
比較的簡単な曲ということで「見つかんない見つかんない」を、1トラックずつ音作り含め細かく解説してくれます。
07講座以降は実際の楽曲を解説しながら色々と金言を頂ける内容になってます。
きくおさんがデータを見ながら考えていたことを喋る、みたいな感じです。
「何が何だかわからないと思いますが、自分でもわかりません」とか言ってしまう、講座というにはだいぶゆるい気がしますが、とても面白いです。
ちなみにcoloso側の問題なのかもしれませんが、音質が若干悪いように思います。
きくおさんがyouTubeなどで発表している完成音源と比べると、講座の音があまり良くないのが残念です。
12. 便利な課金アイテムの紹介
エフェクトプラグインのおすすめ、逆におすすめしないものを解説してくれます。
インストゥルメント音源については少なめです。
私はこの講義を見てだいぶ散財しました笑
13. 音としゃべりでお送りする質問コーナー①〜16. 音としゃべりでお送りする質問コーナー④
Q&A形式で基本トーク、時々音を鳴らしながら解説、の感じで色々とお話ししてくれます。
いくつかこの講義きっかけで始まった習慣もあるので、感謝してます。
また、曲全体に関わる展開・構成などの解説もかなり時間を割いて解説してくれるので勉強になります。
その他、コードやパーカッション についても、補足的な解説も色々。
17. 曲の制作過程全公開①〜20. まとめ
きくおさんの作曲工程を、コンセプト決めから完成までの制作過程を一通り、解説付きで見れるセクションです。
ここはかなり見応えがあります。まさに虎の巻といった感じです。
こちらの曲です。
ただ、天才きくおさんに細かい解説を期待してはいけないというか、「ここらへんはずっと微調整ですね」というざっくり解説が頻発します。
微調整としか言いようがないとのことですが。
とはいえ、演奏することなく一音ずつの打ち込みを中心に、ひたすら「微調整」を繰り返して制作するというスタイルは非常に興味深いです。言葉にできない「微調整」ですが、そこにきくおさんの真髄がある気がします。
もちろん具体的な音作りなど有用な情報も沢山です。
ちなみにこの講義でのこの曲の完成版と、発表された音源が全然違いました。
全く別の曲です!
「完成」のあとからどんだけいじってるんですかと。
逆に貴重な別バージョンが聴けるということですね。
まとめ
以上ざっくりとですがレビューでした。
この講座、最初から最後まで見るとものすごい見応えです。正直長すぎるくらいです。
もうお腹いっぱい、ってくらいの満足度になりますね。
きくおさんの曲が好きな方には非常におすすめです。
ちょっと値段がお高めですが、少なくとも私としてはお値段以上でした。
細かいことを言うと、アプリが使いづらかったり、音が微妙に悪かったり、Coloso側のマイナス面もあるっちゃありますが、それを補って有り余る内容かなと。
以上参考になれば幸いです!
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